- 何故、このブログを始めたのか?
今は大学教員をしていますが、大学教員の半分の仕事は「研究者」としての顔です。ちなみに残り半分は「教育者」としての顔です。「研究者」としてのアウトプット形態は、昔より「本を執筆する」か「論文を書くか」ということでした。文章の形で書き残すことで、当時獲得した「知識・知恵・概念」を他に伝授してきた経緯があります。一方で、「大学」のような出会いの場に人が集めれなくなってしまった今日、自分自身が考えていることを書き残していこうかなと思い立ち、このブログを始めてみました。1週間に2回くらい更新できればいいなと思っています。
- 今までどのような研究をしてきましたか?
私の研究者としての目標は、「自然現象はどこまで観測出来るのか?」ということを定量的に明らかにすることです。特に、「時間は測定可能か?」ということに興味をもっています。
大学院生時代は、「量子情報科学」と言われる分野の中で、量子力学という法則を基礎として、どこまで精密に量子力学的に振る舞う現象は測定できるのか?ということを目標にする「量子測定理論」と呼ばれる分野を研究していました。更には、ランダムウォークの量子力学的な模写で始まった「量子ウォーク」と呼ばれる分野に出会い、数理物理的なアプローチから「量子ダイナミクス」を模写するとは何かということを探索してきました。学位取得後、量子ウォークや量子測定理論は自然科学を解き明かすための理論なのか?と疑問に思うようになり、量子測定理論で培った道具だてを用いて、「光物性理論」と呼ばれる分野で光の言葉で自然現象を解き明かすということをやってきました。その中で、異なるタイムスケールを記述する理論体系があまりないこと、実験的な道具が揃っていないことに気づき、「ハイブリッド量子計測科学」と個人的には呼びたい、複数の測定対象に対して精密巧緻な方法を開拓していきたいと思っています。このような手法を開拓していくと、測定データが非常に膨大となり、「実データを取り扱う手法」を開拓する必要に迫られてきました。そのため、理論的な枠組みや統計的な手法を用いて、現象・データを「タンジブル (tangible)」 にするための手法論を研究しています。大学院時代に「量子情報科学」を研究していたことから、量子計算機の理論的な側面での開発に携わることになり、「乱数生成方法」を用いた量子ハードウェアの評価方法の研究を開始しました。そうやって研究している内に、「乱数とは何か?」という根本的な疑問にぶち当たり、現在は「量子乱数」自体も研究を行っています。
一見、研究対象がフラフラしているような感じがしますが、「時間」も「乱数」も数学的には記述出来るけれども、どのように検証して良いかが分からないものを対象に「どこまで検証可能か?」という視点で研究を行っています。そのために、解析するための道具がなければ、独自に開拓していくというスタイルです。
- どのような経歴ですか?
以下に私の経歴を書きます。産まれてから 東京→大阪→東京→宝塚→東京→東京→ボストン→東京→名古屋→東京→川崎 と引っ越してきています。
2002年 東京都立国立高校卒業
2003年~2007年 東京工業大学理学部物理学科
(入学時は1類。4年次は宇宙物理学理論研究室に所属)
2004年~2007年 4大学連合コース(東京工業大学・一橋大学)文理融合コース
2007年~2009年 東京工業大学大学院理工学研究科基礎物理学専攻 修士課程
(宇宙物理学理論研究室(指導教員:細谷 暁夫教授))
2009年~2011年 東京工業大学大学院理工学研究科基礎物理学専攻 博士課程
(宇宙物理学理論研究室(指導教員:細谷 暁夫教授)。日本学術振興会特別研究員(DC1))
2009年~2011年 マサチューセッツ工科大学機械工学科 客員学生
(ホスト研究者:Seth Lloyd 教授)
2011年~2012年 日本学術振興会特別研究員(PD) (DC1 より切替)
(受入研究機関:東京工業大学大学院理工学研究科)
2011年~現在 チャップマン大学量子科学研究所 准メンバー
(若手独立フェロー制度での採用)
2015年~2016年 東京工業大学応用セラミック研究所 客員准教授 兼務
2017年~2018年 東京大学先端科学技術研究センター 特任准教授
2017年~2018年 JST ERATO中村巨視的量子機械プロジェクト 研究推進主任 兼務
2018年~2021年 慶應義塾大学大学院理工学研究科 特任准教授
2018年~2021年 慶應義塾大学先導研究センター量子コンピューティングセンター 研究員兼務
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